老化予測のリスクコミュニケーション

 

<クマ:自分の生い立ちを調べているクマムシ>

<Koby:一緒に調査している科学オタク>



Koby:今回は、ちょっと"おもむき"の違うテーマでリスクを考えてみよう。

クマ:それは、いいかもね。いままで、ヒトの体に悪影響を及ぼすモノについてのリスクの話だったよね。

Koby:その通り。今回は、老化予測のリスクじゃ。

クマ:老化予測?

Koby:実は、以前から思っていたことなんじゃが、日本の将来像はどの資料をみても、パッとしない、なんていうか、ぜんぜん元気がでこない推定で、見る気も無くするようなしろものばかりで、この先、お先真っ暗を暗示しているようで心配じゃったんじゃ。

クマ:そうだね。また、最近では「エネルギー・環境に関する選択肢」で将来の原発比率はどうあるべきかが、議論されているけど、どのケースを採択しても今までのGDP予想を大きく下げるシナリオになっているよ。

Koby:そうじゃ。安心・安全を作るための費用でGDPが下がるのは分かるが、もともと色々と大変な将来なのに、その上のまた重しをのっけられるようで、将来を託す若者へ伝えるのは苦しいなぁ。 そこで、種々の予想のもとになっている日本の老化(老齢者)予測についてのリスクを考えてみよう。

クマ:老化(老齢者)予測についてのリスク?

Koby:現状の将来GDPなどの生産性推定時には、年齢別の生産効率みたいな指標をつかう。すなわち、老齢者の比率が上がると今までの実績値をもとにした推定で老齢者の生産力をはじいている。

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この図は、日本の人口構成の予想じゃが、日本は男女とも寿命が世界トップクラスなので、当然今後の国力は今までの実績値から推定すると極端に落ちると推定される。

ここが、問題なんじゃ。推定を出す側は推定の根拠は今までの実績に頼るしかなく、推定をするに当たってリスクミニマムになるようにするんじゃが、はたしてこれで良いのか。

クマ:推定だからそれでいいんじゃないの。

Koby:いや、違う。このやり方では、将来を予想するに当たって、寿命が長い国では発展性がないというそういう結果しかでてこない。戦後の全てが右肩あがりの時代なら過去実績からみてバラ色の将来が簡単に描けるが、今ほしいのは、将来の希望なんじゃ。

クマ:それは、分かるけど、希望はあるの?

Koby:おおありじゃ。この図を見てくれ。

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これは、東京都のデータなんじゃが、ここ20年で、老齢者の体力は素晴らしく改善されている。

また、下のグラフは、高齢老労働力率の各国比較じゃが、日本が群を抜いてたかく、老齢者の労働意欲がたかいことを示している。また、スウェーデンも同様の傾向を示していることが重要じゃ。

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つまり、寿命の延びたヒトは、種々の生産性も維持できる可能性が充分にあるということじゃ。
寿命が延びた分、まだまだ頑張れるというシナリオじゃ。

事実、若々しく働いている65才以上の人はずいぶんと増えている。寿命の延びたヒトが活躍するシナリオが最も大切で、これからの日本の将来を変えるカギとなるんじゃ。若者にだけ、つけを払わせずに、寿命の延びたヒトも頑張るんじゃ。このためにも、本当の意味でのアンチエイジングが重要になる。

クマ:良くわかりました。

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