赤い花のリスク、赤い果実の効果
植物は、子孫を残すために色々な戦略を展開してきました。 花の色素で説明したように、花粉をより安定的に受粉することができるように、おもに昆虫の視覚に目立つ花の色を作り上げてきました。
しかし、昆虫には赤色は、見ることができません。
なのに、赤い花はなぜ、あるのでしょう。
赤い花の意味は、逆説的です。
つまり、生物にとっての警告色の意味合いが強いのです。
鳥類とか哺乳類にとっては、赤い花は良く見える訳で、赤い花を持つ植物は、あなたたちにとって有害ですよ、と警告していると考えられています。
すなわち、彼岸花はその有毒性から、バラはご存じのように、「トゲ」を警告していると科学者は推測しています。
そして、その記憶として、彼岸花やバラの有害性が学習され、食べられるのを防いでいると言うわけです。
(*食用花、エディブルフラワーの赤色色素は、抗酸化物質で、ベリーに含まれるアントシアニンですから、むしろ有効です。)
深いですね。
さて、赤い果実、赤い果物というとどうでしょうか。
こちらの場合は、花とは全く逆で、赤い果実は、鳥類とか動物に食べてもらいたい色を出しています。
人間も本能的に、果実や果物の場合は、赤い色を好む傾向があるようです。
赤い色素の代表的なものは、種々の果物、果実で赤や黄色を発色している、「カロテン(βカロテンはビタミンAの原料)」、「トマトの赤色色素のリコピン」、また、ベリー類に多く含まれている「アントシアニン」、アントシアニンと構造が良く似ている、紫の自然色素「シコニン」などです。
下の図は、赤い天然色素の化学構造ですが、良く似ていることがわかります。
健康に抜群の赤い果実、赤い果物を、食べましょう。
参考文献
バイオメカニズム学会誌, Vol.31, No.3 (2007), 鳥類の視覚受容機構
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/31/3/31_3_143/_pdf
生命健康科学研究所紀要 第5号 2009 解 説 昆虫の視覚世界を探る
http://ir.bliss.chubu.ac.jp/cgi-bin/retrieve/sr_bookview.cgi/U_CHARSET.utf-8/XC09000113/Body/link/045_arikawa.pdf
CERの森を利用したミツバチ研究
http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/ecology/cooperate/forest/research/cer-bee.htm
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所 花の色のしくみ
http://www.naro.affrc.go.jp/flower/kiso/color_mechanism/index.html
農林水産省 HP 「特集2 食材まるかじり 花を食べる」
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1004/spe2_01.html
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