ⓒ楽しく役立つ健康情報 |
iPS細胞とHLA抗体/iPS細胞バンクと拒絶反応のリスコミ<クマ:自分の生い立ちを調べているクマムシ>
Koby:iPS細胞の展開についての考察を行ってみた。 クマ:iPS細胞は、どんな細胞へも分化できる可能性がある夢の細胞だけど、分かりやく教えて。 Koby:ほい、きた。普通の動物の細胞は、全ての遺伝情報をDNAとして、持っていても、植物のように、ひとかけらの細胞から本体を再生することは、できないんじゃ。 唯一、卵細胞が精子と結合して、その細胞が分化して本体(個体)ができるんじゃな。 ところが、ご存じの山中教授が、Oct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子を普通の細胞に組み込むことで、どんな細胞へも分化できるiPS細胞を作った話は有名じゃな。 つまり、自分の普通の細胞から、ひょっとすると自分の臓器がつくれてしまうかもしれない、こんな夢のようなことへつながる技術なんじゃ。 しかし、遺伝子組み換えは、いまだ完全にコントロールされているとは、言い難く、つぎのような心配もあるんじゃ。 つまり、4種類のiPS細胞化用の遺伝子を、自分の遺伝子に組み込むといっても、現在では組み込む場所は、運まかせなんじゃ。 考えてもみてくれ、人間の遺伝子のDNAは約30億個あって(長さで約2m)この中のどの場所にOct4、Sox2、Klf4、c-Mycの4種類の遺伝子が組み込まれるかは、遺伝子組み換え時の運搬役(プラスミドや一種のウイルス)しだいということじゃ。 したがって、遺伝子組み換えで生まれたiPS細胞にも、組み込まれた場所の違いで、出来不出来ができるようじゃ。 また、自分の細胞がもとになっているとは言え、厳密には、30億個の順番が、数種類でも違っていることになる、これをどう評価し、無害化を証明するかがキーじゃな。 クマ:ナルホド。けど、自分の心臓とかが、どうしても移植でしか回復できないときなんかは、自分の細胞から心臓ができるなら、それを試してみたいと考える人は多いんじゃないの。 Koby:そうじゃな。この証明は、そういう実際の治療でもって証明されるしか方法はないような気がするの。しかし、すばらしい夢の技術なので、研究と調査は、加速度的にすすむだろうな。 また、この調査と研究のために、拒絶反応が、非常に起こりにくい細胞を探して、それで、実験を進めようとする試みも模索されておる。
上の表は、現在進められているiPS細胞バンクの比較表じゃ。 すなわち、骨髄移植などの拒絶反応を支配するHLA(ヒト白血球抗原)の組み合わせで、全日本人の90%(3座一致)に適合する、非常にまれなHLA因子が140種類あるんじゃ。 言いかえれば、それを持つ人を探しだすことができれば、その人たちから作りだしたiPS細胞は、日本人の90%に適合する訳で、自分由来のiPS細胞より拒絶反応は劣るが、はるかに数多くの症例を治験することができるからじゃ。 クマ:それは、すごい。 Koby:現在、樹立されたiPS細胞の1株(1種類)あたり、数千万円の費用が、種々の安全試験や人権費として必要と概算されえているが、このiPS細胞バンクが、完成すれば、それこそ加速度的に、iPS細胞臓器の治験が進むだろう。 2012/11/6日に「iPS細胞バンク」計画が京都大病院の倫理委員会で承認されたそうじゃ。 移植しても拒絶反応の起こりにくいiPS細胞のタイプを多数そろえて、5年以内に再生医療の臨床研究などに利用できる体制を整備する。 まず、京大病院で過去にHLAの検査を受けた人から探すが、公募も検討するそうじゃ。 参考文献 「臨床用iPS細胞バンク構想」 京都大学 先端医療開発スーパー特区 連携推進プログラム No. 8 2012年5月
Copyright ⓒ楽しく役立つ健康情報 All Right Reserved |