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キズ(創傷)の再生と増殖因子/細胞外マトリックス<クマ:自分の生い立ちを調べているクマムシ>
Koby:細胞外マトリックスについて、調査を進めていたら、やはり、再生医療との接点が見えてきた。すなわち細胞の増殖に関わるタンパク質が種々の増殖因子として、発見されている。たとえば、1974年にウシの脳下垂体から線維芽細胞の増殖を著しく促進するタンパク質:FGF(線維芽細胞成長因子)が発見され、1986年にはヒトbFGF遺伝子の全DNA配列が解明されている。現在では遺伝子組み換え技術で生産され、キズ(創傷)治療用として、販売されている。 クマ:やっぱり。その増殖因子タンパクは他にもあるの。 Koby:現在、これも日夜研究が進められている分野じゃが、代表的な増殖因子について表にまとめてみた。これらの増殖因子は、細胞外マトリックスの中に極微量分泌され(効果を発現する必要性に応じて)、研究者の多大な分析と調査のおかげで、現在では、タンパク質の構成が解明されているものが多い。先ほども解説したが、bFGFはその中でも医療用に適用され、創傷の治療に大きく役立っている。
Koby:増殖因子を用いた治療薬はこれからどんどん出てくるじゃろう。また、EGF:上皮細胞増殖因子などは、老化にともない減少することが分かっておる。つまり、年を取ると、キズの治りが遅くなるということじゃ。これの裏返しで、アンチエイジングの面からの研究もされている。とくに、女性の肌(顔など)のアンチエイジングは、美容の面からもニーズは大きく、化粧品会社では根本的な美容対策として取り組んでおるようじゃ。 Koby:余談じゃが、漢方薬にも結果的に、増殖因子が含まれているものがあるようなんじゃ。 クマ:長い経験的な積み重ねが、DNAレベルの解析で裏打ちされたということ?。 Koby:たとえば、鹿茸(ろくじょう)、まだ若い鹿の生え始めの袋角を切り取ったものでまだ血も通っていて触ると柔らかくプニョプニョしている骨化する前の角が、中国の漢方としては3000年以上も前から不老長寿の神薬として広く知られており、滋養強壮・強精・不妊症・貧血・更年期障害、等さまざまな薬効があるとされておる。シカの袋角には、インスリン様(よう)成長因子(IGF-1)が含まれているとの報告もあるんじゃな。 また、「やけど」に良く効く「紫雲膏(しうんこう」。 成分は、胡麻油ゴマユ100.0 紫根ムラサキ10.0 当帰トウキ10.0 黄蝋オウロウミツロウ38.0 豚脂トンシ 2.5 なんじゃが、再生力が評判じゃ。推定の域を出ないが、豚脂に含まれている細胞外マトリックス成分が、効果を発揮しているのかもしれん。 クマ:iPS細胞の細胞分化にも関係しそうで、今後の展開が楽しみだね。 参考文献 ナショナルジオグラフィック ニュース シカの角成分、その効能は? http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20130131001 Wound bed preparationに基づく創傷管理とフィブラストスプレーの使い方 http://fiblast.jp/pdf/FGF115.pdf サイエンスフロンティア21(16)細胞の外の世界:サイエンスチャンネル http://sc-smn.jst.go.jp/playprg/index/336
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