ＰＭ２．５の無害化機構(マクロファージ捕食)

＜クマ:自分の生い立ちを調べているクマムシ＞

＜Koby：一緒に調査している科学オタク＞

Koby：前のページで、体のＰＭ２．５に対する防御機構について、調査を行ったが、今回はその続きで、ＰＭ２．５の分解機構について、突っ込んで調査をおこなった。
ＰＭとは、粒子状物質（Particulate Matter, PM）のことで、大気に漂う固体や液体の微粒子のことで、主に燃焼による煤塵、黄砂のような飛散土壌、海塩粒子、工場や建設現場で生じる粉塵等などからなる。ＰＭ２．５は、鼻や気管、気管支を素通りし、肺胞で吸着される。

クマ：肺の奥深くに入ったら、出ようがないんじゃないの。

Koby：ところが、どっこい、人間の体の防御機構はあるんじゃな。どういう防御機構かというと、下の図にも示したが、肺胞の表面に付着したＰＭ２．５はマクロファージという白血球によって、食べられ（捕食）分解・無害化され最終的にリンパ液から静脈系で回収される。

クマ：良かった。

Koby：さらに調べると、大変興味深いことがわかた。
なんと、肺胞のマクロファージは、ＰＭ２．５を捕食すると、活性酸素や一酸化窒素などの殺菌性分子を産出し、また分解酵素（プロテアーゼ）も作りだし、最終的にＰＭ２．５を分解する（微小炭素粒子は難分解性だが徐々に排出される）。

活性酸素は、放射線のリスコミでも詳しく説明したが、普通の細胞にとっては、タンパク質分子を分解される有害分子だが、マクロファージは、この活性酸素を有害物質の分解に「逆」利用しているわけだ。

なんと、不思議な生命のメカニズムではないか。

まぁ、そういう訳で、ＰＭ２．５も肺胞マクロファージの分解メカニズムがあるので、少量の場合は、清浄化されるということだ。
健康な人は、多少高いＰＭ２．５を吸ってもマクロファージの免疫で、大丈夫なわけだが、体力の低下した方や療養中の方は、注意した方が良いとは以上のメカニズムによりクリアに理解できるはずじゃ

クマ：へぇ〜。こんなところで、活性酸素や、大気有害物質の一酸化窒素なんかが関わってくるとは、ビックリだね。

Koby：全くだ。結局、人の免疫でＰＭ２．５の防御メカニズムが出来ているので、空気が澄んだ日には気持ちよく運動して免疫力アップをはかり、健康増強したいと思っている今日この頃である。



マクロファージによるPM2.5の分解


a. 貪食された異物が食胞（ファゴソーム）に取り込まれる
b. 食胞はリソソームと融合しファゴリソソームを形成、異物は酵素により破壊される
c. 残渣は細胞外に排出される（あるいは消化される）
1. PM2.5、2. 食胞 3. リソソーム、4. 残渣、5. 細胞質、6. 細胞膜






参考文献

肺胞マクロファージ
ウィキペディアフリー百科事典
http://en.wikipedia.org/wiki/Dust_cell

ディーゼル排気粒子の呼吸器沈着，体内動態
国立環境研究所
http://www.nies.go.jp/kanko/news/24/24-5/24-5-04.html