東京オリンピックで 誰でもどこでもエクササイズ

<クマ:自分の生い立ちを調べているクマムシ>

<Koby:一緒に調査している科学オタク>



Koby:東京オリンピックに関して文部科学省が作成している「夢ビジョン2020」から、運動とその施策について調べてみた。

クマ:オリンピックに関する国民的な運動とエクササイズの展開は、世界で共通するオリンピックの重要なアピール点なので、詳しく教えてください。

Koby:「2020年を単に五輪開催の年とするのではなく、新たな成長に向かうターゲットイヤーとして位置づけ、東京だけでなく日本社会を元気にするための取組を『夢ビジョン』として打ち出し、社会総掛かりで実現していく」ことを目的に、アイディア公募や、若手のアスリートやアーティスト、研究者らとの対話を実施しながら「夢ビジョン」を文部化科学省が取りまとめた。
 大きな柱は3つで、1つ目は「高齢化社会への対応」、2つ目は「革新的な価値創造社会」、3つ目は「革新的でありながらも伝統を重視する文化の世界への発信」である。
 今回、掘り下げていくのは、この「夢ビジョン」に沿いながら、運動スポーツが「からだ」にあたえる健康増強効果?について、科学の視点から見てくことにする。

 高齢化社会を意義あるものするには、高齢化社会として、競争力を落とさない“戦略的な”活性力をどう実現するかが重要であることは言うまでもない。
 広辞苑によると、老化とは「年をとるにつれ生理機能がおとろえること。時間経過とともに変化し、特有の性質を失うこと。劣化。」とされている。
 そして、いくら環境条件などを整えてもこのような生理機能の低下が起き(老化し)誕生以来一定期間以内に死に至る寿命が存在するわけであるが、生理機能の低下を運動スポーツで抑制・改善できれば、その効果は絶大である。
 定性的には、運動スポーツの健康増進効果は、理解されているが、細胞レベルでのメカニズムは、最近になって分かり始めてきたと言ってよい。


  表1.2020東京オリンピックの夢ビジョン 2020夢ビジョン

表2に、運動が「からだ」にあたえる健康増強効果をしめすが、まず「脳の神経細胞」では、老化で低下した「新しく神経を作る力」が、運動等によって再び活性化するメカニズムが発見された。
 つまり、運動することで「ぼける」ことを抑制できるかもしれないということだ。
 また、運動直後に骨格筋から産生されるIL6(インターロイキン6)が脂肪組織の細胞に作用し、脂肪を分解したり、血管の炎症抑制や血管新生に作用することも見つけられた。
 これは、コペンハーゲン大学医学部の教授(Bente Klarlund Pederson)により命名されたマイオカインと呼ばれる運動因子誘発型インターロイキン6の一種で、成長ホルモンを増量させる効果があると言われている。
 このように、科学的なメカニズムを明らかにすることで、効果的な運動スポーツの方法が、より具体的に構築することができることになる。

 以上の、科学的なアプローチと、それに基づく実証的なプログラムの作成と実行は、日本にとって、高齢化社会の活力の維持を行うには、必須であるものに間違いない。

 また、このような活動そのものが、革新的な新たな価値となることに間違いなく、今後はこの価値をいかに「現実的な」マネーに結び付けるかが、大きなビジネスチャンスになると考えれる。

クマ:水質環境も大事なんだけど、本来の運動スポーツが重要なことが良くわかりました。


    表2.運動が「からだ」にあたえる健康増強効果 2020夢ビジョン





参考文献

夢ビジョン2020(文部科学省版)

老化した神経幹細胞を活性化する環境因子の発見(産業技術総合研究所 幹細胞工学研究センター)

サルコペニアにおける骨格筋ミトコンドリア機能と Myokine の意義,日本老年医学会雑誌 49巻 2 号(2012:3)