あたらしい価値をつくる(食品健康効果表示)

<クマ:自分の生い立ちを調べているクマムシ>

<Koby:一緒に調査している科学オタク>



Koby:東京オリンピックに関して文部科学省「夢ビジョン2020」から、食品健康効果表示の価値創造についての提案。

クマ:オリンピックをきっかけにした、新しい価値創造は、ビジネスの面からもおもしろいので、詳しく教えてください。

Koby:食品への健康効果表示の規制が改革されようとしている。
国の規制改革の一環として、企業の責任で健康効果表示を食品にも簡単にできるようになる(H26年度末目標)。
簡単といっても、食品を用いた実証試験の論文や、学者などの研究論文で成果を確認し発売前にそれぞれの食品の機能について資料とともに届け出をする必要があるが、国の許可は必要としない。

消費者庁は食品表示法に基づいて表示内容に問題がないかを事後的にチェックし、問題があれば回収などを命じる歯止めも同時に行われるそうだ。
すでに、アメリカやドイツなどでは、一定の条件のもと食品の成分が体にどのようにいいかを示す「機能性表示」については許可されている。
この改革により、より健康効果の高い食品について、需要の拡大が期待でき、また健康増進にもなれば言うこともないが、表示方法については、消費者も十分理解しないとその悪影響が心配されている。

すなわち、不十分な根拠で、あたかも素晴らしい効果が発揮できるような表現が、出てくる可能性である。
日本の場合、環境基準や食品基準が厳しく規制されて、含有規制や排出規制がきちっとできており、それを越えるか超えないかでの議論のみで、個々の成分の摂取量に関するリスク(健康障害の起こる可能性)の議論が一般市民のなかでは、ほとんど成されていなかったことが障害となるかもしれない。

わかりやすく説明すると、例えば、塩(しょっぱい例の白い塩)でも、ヒトの体を構成する必須成分であり、夏場など十分に摂取しないと熱中症などにもなりやすくなるのだが、過剰にとりすぎると、高血圧症の原因となるように、食品のほとんど成分には、有効範囲と、それが欠乏したり過剰になった場合の悪影響があることである。

まさしく「薬も、すぎれば毒となる」訳であるが、今まで食品にはこのような表現はされてきたことがない。薬については、当然の情報として表現されているが、普通の人はそこまで見ていないことが普通である。
この有効範囲の記述や、健康効果の証拠となる論文情報などが、食品の機能表示と一緒に表示されないと、全く誤解されやすくなるということである。


  表1.有効成分の適量
有効成分の適量

しかし、日本製品にとっての有利性は、日本語の表現とコミュニケーションの方法においては、他の言語以上の情報説明能力がある点ではないだろうか。

簡潔に必要な情報をわかりやすく的確に表示することが、できればすばらしい仕組みとなることは間違いない。
食品に関する「健康を切り口にした」新しい価値が創造でき、オリンピックの夢ビジョンでも紹介した「革新的な価値創造社会」の実現のステップとしたいものだ。

<筆者例>
・たまねぎ色素がコレステロール吸収を抑え肥満を防ぐ
<玉ねぎ色素中ケセルチンが有効>
東京大学H26/5/23オンライン科学誌「PLoS ONE」

クマ:あたらしい価値の創造が、大切なことがが良くわかりました。


  表2.2020東京オリンピックの夢ビジョン 2020夢ビジョン





参考文献

健康食品が変わる 規制改革の波紋
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3495_all.html


健康食品の正しい利用法
厚生労働省医薬食品局食品安全部