抗酸化物質を運ぶしくみ

 

<クマ:自分の生い立ちを調べているクマムシ>

<Koby:一緒に調査している科学オタク>

Koby:抗酸化物質を体のなかで、運ぶしくみは、大変に重要なんじゃ。

クマ:そりゃそうでしょ。それで。

Koby:まぁ、聞け。  抗酸化物質のうち、植物の色素や、最近話題の「レスベラトロール」や、種々のポリフェノールは、「あぶら:脂質」となじみやすく、効率的に体が吸収するには、「あぶら:脂質」と結びついて吸収される必要があるんだな。
「あぶら」と共存する形で吸収された、これらの抗酸化物質は、なんとLDLのかたちで体中に運搬されんだ。

健康診断の結果で、LDL、HDLコレステロールを指摘されるだろ。
コレステロールは細胞膜や各種ホルモン等の原料で健康な体をつくるために大変重要な「あぶら:脂質」そのもので、多すぎることが良くないのじゃが、適量は絶対に必要なんじゃ。
そして、コレステロールは体に必要な「あぶら」を体中に輸送するための一種のかたちで、水にとけない「あぶら」を親和性のある蛋白と結合し、水に馴染みやすい安定なリポタンパクとして、血液中を運搬されるんじゃ。

 リポタンパクは、その比重の違いで、低比重リポ蛋白(LDL:Low Density Lipoprotein)、高比重リポ蛋白(HDLL:High Density Lipoprotein)に分類されるんじゃが、このLDLとHDLノの2つのリポタンパクはコレステロールを運ぶことに関してはまったく逆の働きをしとるんじゃ。

すなわち、HDLが体の隅々の血管壁からコレステロールを抜き取って肝臓に運び、LDLは肝臓からコレステロールを全身の細胞に運ぶんじゃ。
このコレステロールの運搬に関する役割の違いで、LDLが多いと指摘されるんじゃの。

つまり、LDLコレステロール量が多いと体の隅々に運ばれるコレステロールが増え、コレステロールが血管壁の内膜に溜まってしまい心筋梗塞や狭心症、また脳梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクが増加するといわれているが、抗酸化物質の運搬のためにも必要不可欠なんじゃな。

また、ミトコンドリアの抗酸化物質として有名なCoQ10も、同様にLDLが運搬を担当しとるんじゃ。

レスベラトロールを含む赤ワインは、油の多い肉料理に合わせることは、以上の事実からも大変に意味のあることで、ヒトの長い経験が本能的に選んだ素晴らしいとり合わせなんかもしれんな。


クマ:ヨクワカリマシタ。