活性酸素との関わり
<クマ:自分の生い立ちを調べているクマムシ>
<Koby:一緒に調査している科学オタク>
Koby:今日は、活性酸素の話についてじゃ。
クマ:活性酸素という言葉は、本当に最近良く耳にするけど、どこでどういう風にできて、なぜ体に良くないかとか、分かりやすく、知りたいな。
Koby:そうじゃな。活性酸素は、ここ最近研究が急速に進んでいるだな。とくに、体の中の活性酸素をくわしく調査できる手法が開発されたことが大きい。
さて、調査結果をもとに、分かりやすく解説してみよう。
まず、我々動物は、酸素を吸ってエネルギーを得ているのは、知っているかな。
クマ:知っているよ。酸素を吸って、食物として食べた炭水化物や、脂肪などを、体のなかで、酸素で燃やすことでエネルギーに変えているんだ。
Koby:そうじゃな。そのとおりじゃ。動物も植物もエネルギーを得るために、酸素を吸っているので、酸素がないと生きていくことが出来なくできなくなる。
ところが、酸素にはすさまじい毒性があるんじゃ。その一例なんじゃが、3年くらい生きるふつうのネズミでも100%酸素の中では、びっくりすることに3日で死んでしまうんじゃ。
なぜかとういうと、食べ物を体のなかで燃やすことは、酸素で酸化してエネルギーを得ているんじゃが、この酸化反応で酸素の2-5%の活性酸素ができてしまい害となる、つまり、酸素は「もろ刃の剣」なんじゃ。
酸化するということは、化学的には相手から電子をうばうことなんじゃが、酸素の場合は、最終的に1分子あたり4個の電子を受け取って、無害な水になるんだが、うまく4個全部の電子を受け渡すことに失敗するケースが、2-5%程度あることが分かってきたんじゃ。
この、途中の、反応性に富む物質を、それぞれ,スーパーオキシド,過酸化水素,ヒドロキシルラジカルと呼ばれるんじゃが、ひとまとめにして活性酸素と呼ばれている。
活性酸素は中途半端で活性な物質じゃから、他の何かを酸化して自分は水になろうとするんじゃが、同時に体の細胞内のたんぱく質とかが酸化して、つまり傷つけられる(組成が変わる)ことになるんじゃ。したがって、この活性酸素こそが酸素の毒性の本体なんじゃ。
クマ:ヘェ〜。酸素は、エネルギーを作るためには、重要なんだけど、反対に元気すぎて、その害もあるんだな。
Koby:そうなんじゃ。また、電子の受け取りでは、酸素ほどたくさんの電子を受け取り安定な物質に変わることは無理で、酸素はとても便利な電子の受け取り手だから有用なんじゃが、途中で発生する活性酸素は害となる、つまりこれが、「もろ刃の剣」たるゆえんじゃ。
クマ:びっくり。ということは、酸素を吸いすぎると死んじゃうの。
Koby:いや、そうではない。ここからが、生物のすごいところなんだが、活性酸素を無害化するしくみがあるんじゃな。
クマ:良かった〜〜。
Koby:これが、体内の種々の抗酸化物質の役目なんじゃ。そもそも、生命が誕生して酸素をつかってエネルギーを得始めたときからの永遠の課題みたいなもので、全ての生物に共通するものじゃな。
クマ:ぼくにも、あるの。
Koby:当然。
Koby:ヒトでは、この分野の研究は盛んに行われていて、水溶性のものでは、有名なビタミンC、グルタチオン(グルタミン酸、システイン、グリシンが、この順番でペプチド結合したトリペプチド)、あの健康診断で悪玉と言われている尿酸(多すぎることは全くよくないが、重要な抗酸化物質)などがある。 脂溶性では、カロチノイドやフラボノイドなどの植物色素、またコエンザイムQ10も有名な抗酸化物質なんだ。
クマ:いろいろ、あるんだね。これは、どうやれば体に取り込めるの?
Koby:ほとんどの、抗酸化物質は、体のなかで作ることができるんだ。ヒトの体で出来ないものは、食事としてとる必要がある。すなわち人の体でできないビタミンCとか植物の色素なんかは、食べて補給するしかないし、また加齢にともない減少するようなコエンザイムQ10なんかはも意識的に補給した方がいいようだ。
クマ:ということは、放射線で発生する活性酸素も体内の抗酸化物質が無害化してくれるということ。
Koby:そういうことになる。ラットをつかった実験で、抗酸化物質を食べさせたものと、そうでないもので、強い放射線をあてた場合の影響度に差がるという実験結果がいくつもある。
また、抗酸化物質と老化は、くわしく研究されている最中で、大勢の研究者は、抗酸化物質の影響が老化に関係していると考えているようだ。
しかし、活性酸素は、有害なものには間違いないので、むやみにつくる必要はないんだが、生物が生きる上では必ず発生するものなので、うまく、コントロールすることが大事だといえる。
クマ:良くわかりました。
参考資料 分かりやすい活性酸素・フリーラジカル 東京工科大学バイオニクス学部教授 山本 順寛
http://homepage3.nifty.com/junkan111/index2_7.html
独立行政法人 放射線医学総合研究所 プレス発表
「抗酸化物質による生活習慣病や老化防止のメカニズムを分子レベルで解明〜」
http://www.nirs.go.jp/information/press/2004/02_17.shtml
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