1ミリシーベルトの意味

 

<クマ:自分の生い立ちを調べているクマムシ>

<Koby:一緒に調査している科学オタク>

クマ:普通の人は、1年間あたり1ミリシーベルトまでを線量限度にしているって、良く聞くけど、どういう意味なの。

Koby:むずかしい質問じゃの。これは、ICRP(International Commission on Radiological Protection):国際放射線防護委員会:が提唱しているものじゃが、いろいろ仮定があって、説明が大変なんじゃが、気合いをいれて、やってみるか。

クマ:お願いしま〜す。

Koby:まず、ICRP(国際放射線防護委員会)からじゃ。その、歴史は古く前身は1928年に「園際エックス線ラジウム防護委員会(IXRP)」として生まれ1950年に現在の姿になった。 非営利の団体で基本は学者の集合体なんじゃ。特定の国や集団の利益のためではなく福祉の立場から科学的に放射線防護を考えようとする機関じゃ。

クマ:科学者の委員会なのね。

Koby:そうじゃ。したがって、提案している内容も、論文と実験・調査結果がもとになっている。

「放射線があたったらどうなるの」のところでも説明したように、低放射線の場合は、細胞自体の修復作用があるので、そのことを考慮した方がいいという先生と、修復作用があるかもしれないが、結局、からだにとって有害なものが造られるのだから、それはそれで、評価するべきという先生もいるんじゃ。

というわけで、ICRPでは放射線のリスクを計算するときに、LNT仮説という前提を考えたんじゃ。これは、Linear(比例)Non-Threshold(しきい値なし)の頭をとったもので、
簡単にいうと、修復作用の効果は考えないで、低放射線でもおなじ確率で影響が起こるとしたものじゃ。

クマ:ふ〜ん。

Koby:また、1990年勧告では相乗予測モデル(自然発生による発がん率が、放射線の被曝によって、一定倍増加するというモデルで、年齢とともに自然発生の発がん確率は上昇することも考慮)した結果、一般公衆の場合には、以上の仮定を置くことによって、1mSv/年の被曝でも、65歳になると、死亡する年リスクが10万分の5になると算出された。

クマ:ということは、疲れきってからだの防御機構がずぅーと全く働かなくなった場合は、65歳で10万分の5の確率で1mSv/年の被曝で死ぬ訳ね。

Koby:そうじゃ。ということで、低放射線は有害なものには変わりないのじゃな。



参考資料 ウイキペディア ja.wikipedia.org/wiki/国際放射線防護委員会

独立行政法人 放射線医学総合研究所 『放射線被ばく早見図』 http://www.nirs.go.jp/data/pdf/hayamizu/j/j120405-hi.pdf ICRP Publication 60 "Recommendation of International Commission on Radiological Protection,(邦訳:日本アイソトープ協会)