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カロテンの活性酸素対策<光を感じるたんぱく質> 動物にとって、光を直接感じるところは、「目」です。 光を感じる目のアンチエイジングの項でも説明しましたが、目の光を感じる網膜には色を認識する錐体細胞(すいたい さいぼう)があります。 この錐体細胞のロドプシンというたんぱく質が光を感じているのですが、ロドプシンはなんとオプシンというタンパク質とビタミンAの複合体なのです。 βカロテンは、体に吸収されると分解されてビタミンAに変わります。すなわち、βカロテンは、光を感じる網膜の重要な構成物質だったのです。 植物の場合、光合成で光エネルギーを化学エネルギーに変えていますが、目でも同様の光エネルギーを神経伝達できる化学エネルギーに変換している訳で、ヒトの目にも、植物の光合成に関係する物質そのものが使われているとは驚きです。 したがって、ビタミンAが欠乏すると、視力障害が生じます。 そのほかにもカロテンは活性酸素除去の、高い能力をもっており、健康維持のためには重要な役割を担っています。 また、植物でも活性酸素が不要に発生すると、細胞にダメージを与えます。 この、活性酸素を防御しておるのが、カロテンです。 カロテンは、光合成色素の中でもクロロフィルに次いで多く存在し、光合成タンパク質に接合しています(図1)。 このカロテンは、「補助色素」として光の吸収に働いている、というのが昔のイメージでしたが、現在では、カロテンの一番の働きは、生物にとって害のある活性酸素が生成しないようにすることだと考えられるようになっています。 すなわち、クロロフィルがエネルギーを吸収した状態におかれると、その一部が三重項クロロフィルと呼ばれる特別な状態になります。 この三重項クロロフィルが酸素と反応すると一重項酸素という活性酸素が生じ、細胞に害を与えます。 カロテンは、この三重項クロロフィルまたは一重項酸素と反応して、それらを元のクロロフィルや酸素に戻して危険が広がらないようにする役割を果たしているのです。 そして、この活性酸素防御効果を有効に利用しているのが、人間なのです。 ハーバード大学を中心にした疫学調査で、66歳以上の高齢者1,271名を対象に、カロテンを含む野菜の摂取量とガンによる死亡率を5年間調査した調査結果が、1985年にThe American Joumal of Clinical Nutritionに発表されました。 結果、カロテンを含む有野菜を最も多く摂取したグループの死亡率は最も少なく摂取したグループの3分の1以下であったとのことです。 また、カロテンを含む野菜の摂取量が増えるとガン発病率のれ顕著な低下が見られます。 これらの結果から、カロテンは細胞のガン化を予防する成分であると結論しています。 図1.光合成タンパク質複合体へ結合するカロテン 図2.カロテンの効果 図3.代表的なカロテン 参考文献 光合成色素 Laboratory of Plant Physiology, Waseda University http://www.photosynthesis.jp/shikiso.html
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