おいしい塩/塩味の深い意味
【なぜ塩味(えんみ)が感じられるのか】
塩の主成分は、NaClでナトリウムと塩素のイオン化合物であることは、ご存じの方が多いでしょう。
この、ナトリウムは、生物の根源的なところで、生命活動に関係しているのです。
すなわち、
(1). 細胞膜の浸透圧の維持:ナトリウム、カリウムなどでイオン濃度を調節し、細胞の大きさ、機能を維持する。浸透圧のバランスが崩れると細胞はその形態を維持できなく、破裂するかしぼんでしまう(死んでしまう)。
(2). 酸塩基平衡の調節:体内のpHを弱アリカリ性に維持し組織の正常に機能さる。体液のpHは一定値7.35〜7.45の弱アルカリ性に保たれており、この範囲を超えると体内の組織の活動に大きな支障が出る。
(3). 神経伝達に関与:神経細胞の外部のナトリウムイオンと内部のカリウムイオンの両者の働きにより電流が生じ、刺激が伝達される。また、同様の理屈で、筋肉収縮はナトリウムイオン、カリウムイオンの筋肉細胞への作用により開始される。
という具合に、生物の根源的な生命活動にナトリウムは関係しているんです(驚き)。
つまり、ナトリウムは、生命活動には無くてはならないそれはそれは重要なもので、陸に上がった生物は、いかにナトリウムを補充するかが、生死を分けるファクターになったのです。
一言でいうと、必死で探さなければならなかった塩だから、味として体が欲する自然のしくみができたのです。
塩味の本体、すなわち塩味物質は、これらの塩類が水に溶けて生じるイオンの一種です。
塩からさはナトリウムイオンと関係があります。ナトリウムイオンが味覚細胞の分布するナトリウムチャンネルを通して細胞内に流入すると、細胞内が正の電化に変化する電気変化がおこり、これにより、カルシウムイオンチャンネルが開き、細胞外からCa2+イオンが侵入する。 この細胞内に入ったCa2+イオンにより、伝達物質を含む小胞が活性化し、神経伝達物質を放出するという仕組みということです。
代表的な塩の成分
成分(100g中) | ジュラシック・ソルト | リアル・ソルト | ヒマラヤ岩塩 | 食卓塩 | 伯方の塩 |
ナトリウム | 37.6g | 38.6g | 39.9g | 39.1g | 37.5g |
カルシウム | 418mg | 400mg | 106mg | 25mg | 90mg |
カリウム | 198mg | 120mg | 102mg | 120mg | 50mg |
マグネシウム | 93mg | 100mg | 56mg | 19mg | 110mg |
鉄 | 47mg | 60mg | 1.3mg | 0.5mg | - |
【おいしい塩】
世界的においしい塩は、ユタ州で採掘された岩塩(リアル・ソルトやジュラシック・ソルト)が有名です。
リアル・ソルトは、全米のプロのシェフおよび食品メーカーのバイヤー約3万7千人で構成されるA.C.I(The American Culinarv Institute)が2年に1度開催する食品の品評会で金メダルを受賞しています。
紀元前(ジュラ紀)の海底が隆起して形成された岩塩から、採掘されたもので、一般に販売されている食卓塩や、海水由来の塩に比べて、カルシウムや鉄分が多く含まれており、これらのミネラルが、塩味(えんみ)を一層おいしくしていると考えられます。
事実、カルシウムも生命活動には欠かせない重要なミネラル、味として体が欲する自然のしくみがあると考えてもいいかもしれません。
ヒマラヤ岩塩や、伯方の塩も、一般の塩に比べると、カルシウムが多く、これがうま味のもとになっているのでしょう。
肉や魚を塩だけで焼いて、もしくは揚物を揚げて、レモンなどをかけて召し上がる時など、ベストマッチです。
ミネラルを含むおいしい塩を適量食べることは、大変重要な意味があるのです。
参考文献
味覚の生理学
旭川医科大学生理学第二講座 柏柳誠
http://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/physi2/New%20Taste%20Review.pdf
味を感じるしくみ 鈴木教世
http://www.jacsri.jp/JACSRI/taste/taste.html
Copyright ⓒ楽しく役立つ健康情報 All Right Reserved |