放射線ダメージの修復について

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 老化を防ぐとされて注目を集めている抗酸化物質「レスベラトロール」に、放射線障害を防ぐ効果がある、との研究成果が2008年9月23日(米国)に行なわれた米国放射線腫瘍学会の年次会議でピッツバーグ大学の腫瘍学者Joel Greenberger氏から発表されている。

http://www.news-medical.net/news/20110324/Resveratrol-can-provide-resistance-before-and-after-hazardous-radiation-exposure.aspx

 このレスベラトロールは、サーチュイン遺伝子を活性化させ、老化を防止すなわち「長寿化」の遺伝子として最近大変注目されている。

 サーチュイン遺伝子の効果は、(1)ミトコンドリアを活性化、(2)老化で変質した免疫細胞をリフレッシュ、(3)傷んだ遺伝子(DNA)を修復、その他100項目くらいの老化抑制が確認されつつある。

 サーチュイン遺伝子を活性化し、傷んだ遺伝子(DNA)を修復することができれば、まさしく放射線ダメージの修復が可能なわけである。

 何が、サーチュイン遺伝子を活性化させることができるかという研究は、最近始まったばかりであるが、まずレスベラトロールで確認された。今の段階では動物実験の検証結果だが、ヒトでも近いうちにその効果が確認されそうである。

 レスベラトロールは,ブドウの皮や赤ワインに含まれる成分で、ポリフェノールの一種、天然の抗酸化物質。ブドウやピーナッツなどの食用植物に含まれ、赤ワインはレスベラトロールの主要な「みなもと」です(レスベラトロールはブドウの赤い皮に集中)。 グラス一杯の赤ワイン 240mL は、約 640mg のレスベラトロールを含み、レスベラトロールは栄養補助食品(サプリメント)として入手可能である。→詳細は、レスベラトロールの選び方を見て下さい。

 ブドウから採れる物質なので、摂取しても安心なので、これから日本では大変に必要になるかもしれない。

 <チェルノブイリの現状から>

 NHKBSで7月6日に放送された、BS世界のドキュメンタリー シリーズ チェルノブイリ事故 25年 「被曝(ばく)の森はいま」から。

 チェルノブイリの事故現場は、まだ強い放射線が残存しており半径30kmの立ち入り禁止状態はいまも続く。しかし、放射線の動物への影響が克明に調査され続けている。

 その結果、驚くべき事実が判明しつつある。本来なら強い放射線によって生じるであろうと考えらる突然変異や、動物の体の組織異常が驚くほど少ない種類が発見されていることだ。それは、「ねずみ」の種類、強い放射線によって発生する体内のフリーラジカルが、みごとに抗酸化物により抑え込まれているというのである。

 動物の種によっては、体の組織異常が顕著に表れているものも報告されているが、「ねずみ」の放射線に対する適応は、大きな示唆を与えるものと考えることができる。

 すなわち、放射線が動物に与える影響は、動物の老化プロセスと基本良く似ており、放射線によって発生するフリーラジカルをいかに抑え込むかが大きなポイントとなることだ。

 以上のことからも、放射線ダメージの修復に、ラスベラトロールなどの抗酸化物質が有効であることが、理解できる。

 放射線と老化は、その基本的なフリーラジカルが影響するプロセスということでたくさん共通するものがあるようだ。〜2011年フランス、Camera Lucida Productions/Arte France/CNRS Images制作〜 7月6日(水)NHK放送 2011年フランス、Camera Lucida Productions/Arte France/CNRS Images制作