大切な口内環境(歯周病対策)

<お口の中は体内か、体の外か>Bred1.jpg - 13,921BYTES

 食べ物は、すべてお口の中を通って、胃腸へ送られます。免疫のページでも解説したように、腸とくに小腸は腸内細菌と免疫細胞の戦いの場所で、ここまでいけば体内に近いと言えるわけですが、口内は環境的には体の外と言っても過言ではありません。

 したがって、免疫細胞も炎症がない限りはほとんど働くことがありません。

 つまり、歯周病菌にとっては非常に住みやすい環境となり得るわけです。また、口内で唯一、歯周病菌に対して対抗しているものは、抗菌作用も持つ「唾液」なのですが、歯ぐきの溝の奥にはなかなか届きません。

 したがって、歯ぐきの溝(歯周スポット)は、歯周病菌にとっての格好のねぐらとなります。

 また、唾液の分泌も歳をとるに従い、少なくなり、ますます歯周スポットが歯周病菌に侵されることになります。

 

 歯周病菌が、繁殖し歯ぐきが炎症を起こしてから、免疫細胞が歯周病菌退治を行うわけですが、この時点ではすでに歯周スポットがかなり侵され、免疫細胞も有効に働くことができなくなっています。

 

 繁殖した歯周病菌は、口から体の全体へ拡散することができます。お年寄りに多い誤飲が原因で、歯周病菌が呼吸器系に行くこともあり、肺炎の患者から歯周病菌が検出されることもあります。また、歯周病患者の心疾患による死亡率は健康な人の1.9倍、発作は2.8倍、歯周病の進行と心疾患の発生は比例しています。

 

<歯周病対策>

 以上のように、歯周病は人間の宿命的な病気で、加齢を加速させるやっかいものですが、すこし前まで病気という認識は一般的ではありませんでした。

 人として、加齢が進めば少なからず歯周病菌の餌食になるわけですが、対策は、あります。

 

(1)まずは、食後のブラッシング

  歯周スポットに、ブラシの毛先が軽く入る感覚で、丁寧に歯周スポットを掃除する。

 エンピツを持つ要領で、歯ブラシを持ち、約45度の角度で歯と歯ぐきの間に毛先を入れます。歯ブラシの毛先が歯と歯ぐきの間に入ると、入った感触がありますので、これを感じながら、軽く(力を入れずに)ブラッシングすることが重要です。

 力を入れすぎると、歯ぐき自体を傷つけることになるので注意してください。

 

(2)歯周病が進行した場合には

  いろいろな歯周病予防や、退治用のくすりが市販されていますが、まずは歯医者さんに行くことをおすすめします。とくに、歯周病に対して積極的に取り組んでいる歯医者(HPでチェックしたり、実際に行ってみて話を聞くなどして探せば数多くあります)に行くようにしてください。

 根本的な治療方法はないのですが、歯ぐきの歯垢を奥の方まで取り除いたあと、抗菌薬を少量歯周スポットに注入して終了です。

 1、2カ月に1回の治療(約1000円:健康保険適用)で半年ほどで、劇的に効果が表れます。